西蓮寺第14世坊守釋妙蓮(中川重子)は、本年6月2日満92才をもって往生いたしました。6月4日の通夜、5日の葬儀と多くの皆様にご参列賜り、7月3日には松下文夫門徒会長が葬儀委員長を務められ、門徒会葬儀が厳修されました。生前賜りましたご厚情に対し心より御礼申し上げます。
中川重子は、1931(昭和6)年、福岡市博多区美野島の真宗大谷派光應寺 古賀重麿・文子の長女として誕生。福岡県立高等女学校(現福岡中央高等学校)から京都女子専門学校(現京都女子大)を卒業。京女時代、寮生活の中で土井たか子(元衆議院議長)さんと親交があったのが自慢でした。
1952(昭和27)年4月、西蓮寺第14世住職中川信行と結婚。一男二女を授かりました。1955(昭和30)年3月、京都本願寺にて得度し僧侶となり、住職と医師(内科医)を兼業とする信行とともに法務にあたり、長年西蓮寺を支えてきました。
一方、ご近所の方からご指導を受けながら、畑での野菜作りや山での植林・根ざらいなどに精を出す時期もありました。
芸術的才能に恵まれ、書道は五段、とりわけフランス刺繍との出会いは大きな人生の支えとなったようです。数十年にわたり福岡市の木本先生に師事し、多くの作品を制作しています。玉屋・大丸・阪急といったデパートで開催される「戸塚刺繍展」にも長年出品をしていました。親類や知人に小品を差し上げるのも楽しみでした。作品の一部は、西蓮寺本堂や庫裡に展示しています。
2018年前住職往生の後、腰椎圧迫骨折が続き、筑紫野市内の施設にお世話になりながら車いすでの生活でしたが、頭脳は明晰で、亡くなる数日前まで自分から携帯電話をかけ、家族と会話をしておりました。7人の孫11人のひ孫にも恵まれ、地域やご門徒の皆様のおかげで生命の限りを生き抜いた生涯でした。
合掌
2023年7月前坊守門徒葬
源氏物語絵巻より